二重膜構造テントを利用した雪貯蔵実験報告1(5/26〜6/30)
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1.概要
スプラング膜材と輻射材(アルミコーティング断熱材)を利用した二重膜構造のテントを仮設し、その内部で雪を貯蔵する。期間中は各種条件の下でテント内部及び膜間の温度を計測し、性能検証を行うための基礎データとする。
2.期間
平成18年5月21日から7月まで
3.場所
柏崎市鵜川 旧小学校プール内
4.テントの構造
テントの躯体は、パイプ構造部と基礎部分からなる。パイプは二重構造とし、外側にスプラングのテント膜材、内側に輻射材を張る。基礎部分は木材で作り、その自重で全体を支えられるようにする。
図1.テントの構造
5.実験の進捗状況
1)テントの仮設&雪の投入 (5月21日9:00-15:30)
仮設場所をほたる会館側(南西寄)とする。パイプの組立て及び輻射材の仮固定は、約1時間で終了。
図2.テント内側パイプの組立及び輻射材の取付け
雪の投入はプールサイドより除雪機を使って行う。除雪機で飛ばす雪は直接輻射材に当らないようにコンパネを立てて受ける。雪は全体で4.7t(比重0.6;5/26測定)あまりが投入された。
図3.基礎部分への雪の投入
天井の形に合わせて雪の上部を整える。また、輻射材のみでは横加重に耐えることができないと判断し、コンパネで側面を支えることにした。
図4.基礎の高さを超える躯体部への雪の投入
基礎のコンパネ間にも輻射材を通す(基礎の側面のみ輻射材が2重に張られている)。
図5.雪貯蔵部の固定と外側パイプの取付け
図6.外膜を取り付け後
温度センサを膜間に計10箇所、貯雪部に9箇所、外気温計測用に1箇所取り付けた。
図7.温度センサの取り付け
(m1〜m10:膜間温度計測, i1〜i9:貯雪部温度計測, o1:外気温計測)
2)設置後の観察
◇ 5月26日(金) 15:03 曇
外気温 23.5℃,膜間(屋根裏) 31.4℃,貯雪部(屋根裏) 14.6℃
雪の高さ 185cm
図8.貯雪部内のようす(5日目)
◇ 5月27日(土) 13:00 晴れ
膜間(外膜天井裏) 47℃
膜間の温度データを適宜取得できるように、温度センサ(m10)を追加。27日に読み出しを行ったデータを図9に示す。
図9.外気温(o1)と雪室内(i9;貯雪部天井)、膜間(m10;南西側,高さ1m)の温度
外膜は、屋根部分が最も表面温度が高く、50℃ちかい状態(プールサイド47℃)。
図10.外膜表面温度の測定(左:北側より撮影、屋根41℃。右:南側より撮影、屋根46℃)
◇ 5月31日(水) 11:20 くもり
外気温 26.1℃, 膜間(外膜天井裏) 46.8℃, 貯雪部(雪室) 19.3℃
雪の高さ 175cm
図11.貯雪部のようす(10日目)
外気温、雪室(貯雪部)内及び膜間温度のデータを読み出しを行う。膜間としているのは、高さ1.5m、南西側の支柱(m10)付近であり、午前6時から午後6時までの間は外気温より出ている。
図11.読み出したデータ(単位:℃)
図12. 外膜温度の測定(左:北側より撮影、屋根度。右:南側より撮影、屋根度。)
◇ 6月5日(月) 12:47 晴れ
外気温 27.9 ℃, 膜間(外膜天井裏) 45.7℃, 貯雪部(雪室) 21.2 ℃
雪の高さ 155cm
図13. 貯雪部のようす(15日目)
図14. 読み出したデータ(単位:℃)
図15. 外膜温度の測定
◇ 6月10日(月) 11:34 くもり
外気温 22.9℃, 膜間(外膜天井裏) 39.0℃, 貯雪部(雪室) 18℃
雪の高さ 135cm
図16. 貯雪部の様子(20日目)
図17. 読み出したデータ(単位:℃)
図18. 外膜温度の測定
◇ 6月16日(月) 14:30 くもり
外気温 22℃, 膜間(外膜天井裏) 27.0℃, 貯雪部(雪室) 15.7℃
雪の高さ 115cm
図19.貯雪部のようす(26日目)
図20.読み出したデータ(単位:℃)
図21.外膜温度の測定
◇ 6月20日(火) 16:40 くもり
外気温 25.4℃, 膜間(外膜天井裏) 28.3℃, 貯雪部(雪室) 18.5℃
雪の高さ 95cm
図22.貯雪部のようす(30日目)
図23.読み出したデータ(単位:℃)
両サイドの換気口を広げるため、発泡スチロール製のブロックを外膜との間に挟みこんだ。
図24.外膜わきの換気口を広げる
◇ 6月25日(日) 10:40 くもり
外気温 21.7℃, 膜間(外膜天井裏) 25.6℃, 貯雪部(雪室) 16.9℃
雪の高さ 65cm
図25.貯雪部のようす(35日目)
図26.読み出したデータ(単位:℃)
両サイドの換気口に換気扇を取り付ける(計4箇所)。
図27.換気扇の取り付け
◇ 6月30日(金) 11:40 くもり
外気温 26.6℃, 膜間(外膜天井裏) 28.2℃, 貯雪部(雪室) 19.7℃
雪の高さ 45cm
図28.貯雪部のようす(単位:℃)
図29.読み出したデータ(単位:℃)
図30.放射温度計による外膜、換気口付近の温度測定